アメリカンスクールでこども食堂の話をさせていただきました

2020年 1月29日
 昨年に引き続き、今年も調布アメリカンスクール(ASIJ)にて「子ども食堂とは? 私たちにできること」
というテーマでこどもの居場所のスタッフ、三好が話をしてきました。



これは国連のSDGsの「貧困をなくそう」 「飢餓をなくそう」という目標の一環で小学6年生の子ども達を対象に
話をしたものです。ASIJに通うこども達は比較的裕福な家庭環境ということもあり、日本のこどもの貧困率には衝撃だったようです。
「こども食堂」の存在を初めて知ったという子ども達がほとんどで、なぜ「こども食堂」が必要なのか、広がっているのかを
子ども達と一緒に考えました。


ASIJの子ども達からは府中の食堂の子ども達へメッセージや絵を描いた袋にお菓子を詰めた「スナックパック」を
お土産にいただきました。ポジティブなメッセージにカラフルな絵を個性豊かに描いてくれました。

〜当日の話より〜

私たちの活動している府中市に9つのこども食堂があります。その1つにこどもの居場所作り@府中というこども食堂があります。そちらを例にとって話しますと今年で4年目を迎えます。こどもは無料で大人が300円で、バランスのとれた美味しいごはんが食べられます。 月に一度の開催で17時~19時までの 2時間ですが、多くの人々が集ります。 50人~60人くらいの親子が来ます。 ボランティアスタッフ20人弱で準備をします。 どんな子どもでも大人でもWelcome です。

 

このこども食堂は隣に保育園があるので、主に保育園のお迎え帰りの親子が多いです。 子ども達はお友達と一緒にご飯が食べれて嬉しいし、親同士も話ができ、家に帰ってご飯を作らなくてよいのでみんなニコニコ顔です。

家族で食べに来る人もいれば、子どもたちと将棋を指しにくるおじさんもいます。 将棋おじさんは食事が終わるとすぐ に子ども達にとり囲まれて将棋をします。クラブ活動帰りの中学生が一人で来たりもします。様々な年代の人たち が集う小さな地域交流です。こんな感じで毎月、ワイワイ賑やかにやっています。

では、こどもは無料ですし、大人も安価でどうやって運営しているのでしょうか?

--------- Thinking Time

お肉やお米など食材を提供してくれる企業、お寿司を提供して下さる商店さんもあります。「子ども達に食べてもらいたい」と美味しいパンやデザートを作って下さる方、「食堂で役立つものにお使い下さい」と現金を寄付して下さる方など、そんな方々に支えられて食材を確保しています。

また、食材を美味しく調理してくれるボランティアスタッフの人達。開催時間の4時間前から調理をスタートします。子ども達が食に興味を持っ て、食事を大切にしてくれるよう季 節の食材を用いたり、現在の食卓ではなかなか出てこないような伝統的な和のメニューなどを意図的に取り入れています。

ただ単に「食堂」という役割よりも一緒 に行事を楽しんだり、みんなで餃子を包んで食べるなど体験できるように工夫しています。 たくさんの方々の支えと思いで運営されています。このような子ども食堂が日本全国で約3,700箇所あります。この1年で1,400箇所増えたそうです。

  では、日本で今、どうしてムーブメントとなっているのでしょうか?

--------- Thinking Time

そもそも、こども食堂の目的の一つが貧困の子ども達に食事を提供することです。 日本における子どもの貧困は7人に1 人と言われています。この裕福な日本で本当に貧困なんてあるのでしょうか?

皆さんは「貧困」というと途上国のような飢餓やストリートチルドレンなどイメージされますよね? そんな子ども達は日本で見た事があ りません。ボロボロの服を着て穴の開いた靴で学校通ってる子なんてずっと日本に住んでいる私ですら見た事がありません。ましてや7人に1人が貧困なんて、ちょっと信じ難い話ですよね。

府中市が 2019年4月に公表した 「生活実態調査」の結果があります。この調査は小学5年生(10、11歳) 中学2年生(13、14歳)の子どもと親を対象にアンケート形式で行いました。日頃、子ども達とその保護者がどういう生活を送っていて困っていることはないか調査します。

この結果を踏まえて府中市は子どもに関する策定を進めます。

お金がなくて塾や旅行に行けない家庭が約10%ありました。10人に1人です。 他にもクリスマスのプレゼントが買えない家庭やお誕生日のお祝いをし てもらえない家庭もありました。流行りの文房具も買ってもらえない子もいます。 生活に困っている家庭がある、という事がはっきりとわかります。これは、日本の遠いところで はなく調布市の隣の府中市の話です。

こども食堂はそんなこども達を貧困から直接救う事は出来ませんが、気軽に足を運ぶ事ができ、居心地のよい場所を提供することはできる思います。 社会から孤立したこども達が何度も足を運び、やがて周囲とうち解けてポツポツと自分の話をし始めたり、 他のこども達との交流の場になればよいと願っています。

実際、私たちの食堂でも、そんな子ども達がいます。初めは内向的でどこか遠慮がちな子ども達でしたが、今では周りと少しずつですが話すようになって、ご飯もおかわりをするようになりました。もちろん、表情も以前よりずっと明るいです。

アンケートでは子ども達の求めている上位2つは「なんでも相談できる場所」「お兄さん、お姉さんが勉強を見てくれる場所」でした。中には 「家の人がいない時、夕ごはんをみんなで食べることができる場所」という意見もありました。 子ども達は自分の居場所を欲している事がわかります。

そんな必要性から「子ども食堂」は始まりました。地域の人たちの中には何かしたいと思ってる人々も多くいます。「ご飯作るお手伝いくらいならできるよ」と広がってきました。 何か社会に貢献したい、と思ってい る人は意外と多いと思いますが、ど のようにお手伝いしたらよいのかわからないのだと思います。

自分たちにもできる事はたくさんあります。

私も「ごはんが食べられない子がいるのだったら、出向いてごはん作るお手伝いするよ」という気楽な気持ちで参加したうちの1人です。集まって来る子ども達は必ずしも、 ごはんの食べられない子ばかりでは ありません。 誰でもWelcomeです。そして、みんな楽しそうにこの時間を過ごしています。 子ども達も楽しそうですが、実はボランティアスタッフの私自身、多くの方々とのご縁で関わる事ができ、 子ども達の笑顔や笑い声でパワーをもらっています。

最後になりましたが、昨年、この場 でこども食堂の紹介をさせていただき、その後、昨年の6年生のみなさんが、それぞれメッセージや絵をいた袋にスナックを詰めたものをプ レゼントして下さいました。 それを食堂のこども達に持って行くと、わーっとかけ寄って一つ一つのメッセージや絵を見てテンションが上がっていました。そんなこども達の姿を見ているとスタッフ達まで嬉しくなりました。

 

食堂に来た子ども達にとって、文化の違う子ども達からのメッセージは心に残ることでしょう。

本当にありがとうございました。